ふるさと納税 意識調査レポート

10月の制度改正で利用に大きく影響!?

10月から変わるふるさと納税

地方創生を理念に掲げ、2023年度で16年目を迎えた「ふるさと納税」。2022年度、利用者も寄付額も過去最高を記録したふるさと納税ですが、ここ最近、話題となっているのが2023年10月からの制度の改正です。

今回、リビングくらしHOW研究所が行ったWebアンケートをもとに、ふるさと納税の今後の利用意向についての意識を紐解いていきます。また、制度改正についても詳しく解説していきます。

制度改正と利用者への影響

ふるさと納税制度の主な改正内容は次のとおりです。

募集適正基準の改正

~ふるさと納税の寄付を募集するための必要経費「寄付額の5割以下」を厳格化~

これまで返礼品の調達費用は寄付額の3割以下、送料や事務費などを含む経費の総額を5割以下とするルールを定めていました。ところがこの経費の範囲として従来は含まれていなかったワンストップ特例制度の事務費用や寄付金の受領証の作成・発行費用なども、自治体によっては相当な負担額を要していることが判明しました。

今回の改正については、そうした付随費用とすべきものも含めたうえで、寄付額の5割以下にするように改正されることとなったものです。でなければ自治体には実質的に寄付額の半分未満しか残らないということになってしまいます。


今後は、物価の高騰による調達費用の増加や新たな経費の計上で経費が膨らみ、これまで用意できていた返礼品がこれまでの費用で準備できなくなり、寄付金額の引き上げや返礼品の量が減ることが考えられます。

地場産品基準の改正

~返礼品のうち、熟成肉と精米は同じ都道府県内で生産されたものに限る~

人気の返礼品である肉や魚、野菜、米などの地場産品に関する基準は、これまで地元で熟成・加工された食品であれば、ほかの都道府県や海外で生産された原材料を使用していても返礼品に含むことができていました。しかし今回の改正で、熟成肉と精米に関してはその原材料も同じ都道府県産であることが必要となりました。

現状、他の都道府県産の食品を調達して加工したものを返礼品として提供している自治体も見られるため、その対応策となります。

 

これにより、これまで提供されていた熟成肉や精米が返礼品からなくなるか、または提供量が減ってしまう可能性があります。しかし、熟成肉や精米の産地がより明確になるという点で利用者にメリットのある改正とも言えます。

制度改正を知らない人が半数以上

制度改正について緊急アンケートを8月に実施。結果は以下のとおりです。

Q1

2023年10月より「ふるさと納税」の制度が新しくなることを知っていましたか?

利用者にも影響してくる制度改正ですが、アンケート結果では、「内容まで詳しく知っている」「なんとなく知っている」を合わせても認知率は44.5%。53.2%が「知らなかった」と回答しています。利用経験の有無と制度改正の認知をクロス集計してみると、「利用したことがある」人でも46.8%が「知らない」と回答しています。

 

「これまでに寄付してよかったと思うふるさと納税は?」という質問では、「お米の定期便。毎月違うブランド米が送られてくるのが良かった。知らないブランドや購入しにくいブランドを試せるので、自治体としても宣伝になって良い(50歳)」といった回答もありました。しかし、返礼品の人気上位の米や肉に関係が深い制度改正にも関わらず、低い認知となりました。

制度改正の認知拡大が重要

Q2

2023年10月の制度改正のユーザーへの周知について、 あなたの考えに近いものは?
Q3

2023年10月の制度改正により、
実施タイミングに変化はありますか?
Q4

2023年10月の制度改正により、
返礼品選びに変化はありますか?

制度改正への考えを聞いてみると、65.2%(「もっと」と「やや」を合わせて)の人が「ユーザーへの周知を強化すべき」と答えています。

また今年、ふるさと納税を予定していると答えた人に、今回の制度改正の影響を聞いたところ、タイミングに影響すると答えた人が、53.6%(「大いに」と「わずかに」を合わせて)と半数以上です。返礼品の内容変更や寄付額が増える可能性があることから、制度改正前に行ったほうがいいという声も聞かれます。

返礼品選びに変化があると答えた人は45.0%(「大いに」と「わずかに」を合わせて)という結果でしたが、約1/4の人が「わからない」と回答していました。

 

年々、利用者も寄付額も増えているふるさと納税。制度の改正は、より丁寧で誠実なPR、情報発信が求められ、認知拡大に課題があることがうかがえます。

また、10月以降の制度改正を前に寄付手続きを考える利用者に対しても迅速にPRを行っていくことが重要です。

自治体ご担当者様向け

◎調査概要

※出典元「リビングくらしHOW研究所調べ」

・ふるさと納税アンケート

調査期間:2023年6月13日~20日 調査方法:リビング新聞の公式サイト「リビング Web」のメール会員への WEB アンケート(全国)

有効回答数 2,277人(男性 487人、女性 1,790人)、平均年齢 54.0歳

・ふるさと納税・基準見直し緊急アンケート

調査期間:2023年8月14日~15日 調査方法:リビング新聞の公式サイト「リビング Web」のメール会員への WEB アンケート(全国)

有効回答数:887人(男性 189人、女性 698人)、平均年齢 53.9歳

 

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