長期記憶とブランド想起

マーケティングの基礎知識⑤

マーケティング初心者向けにお届けしている「基礎知識」の5回目。
今回は長期記憶とブランド想起について解説します。

ブランド認知に2種類の認知があります。ひとつは助成想起。もうひとつは純粋想起。助成想起とは「トヨタというクルマメーカーを知っていますか?」と聞いて知っていると答える事を指します。一方、純粋想起は「クルマといえばどのメーカーを思い出しますか」と聞いて「トヨタ」と答える事を指します。

皆さまもそうだとは思いますが、純粋想起で上がったモノから順に調べます。例えば、新しいクルマ買おうかなと思った時に、真っ先に挙がってくるメーカーやブランドをまずは調べるのではないでしょうか。そしてそのブランドが気に入れば次のブランドを調べることはありません。なんか違うなと思ったときに次のブランドにチャンスが巡ってきます。

だから、各企業は純粋想起で挙がることを目指しています。それをエボークドセットに入るとも言います。業界によりエボークドセットの数は変わってきますので、担当されている業界のエボークドセットの数を確認することは大切です。

ではなぜ、想起されるブランドとされないブランドが生まれるのでしょうか。それには長期記憶が大きく関係します。長期記憶とはその名の通り、長期間保持される記憶です。そこに保存されるとブランドは想起されやすくなります。

問題はどうすれば長期記憶に保存されるのか?長期記憶の種類には、自転車の乗り方など動作として身に付けた手続き記憶、意味記憶やエピソード記憶などいくつかありますが、長期記憶に保存してよいかどうかの審査の基準は、「生きていくためにその情報が不可欠かどうか」です。そしてそれを判断するのは脳にある「海馬」という存在です。海馬が長期記憶に相応しいと判断した情報だけが長期記憶として保存されます。

今、担当している商品を海馬が生きていくために必要な情報だと思ってくれる気はあまりしないですよね。分かります。ポイントは、「海馬を上手くダマす」です。

例えば短期間の間に、同じ情報が何度も脳に入ると、海馬は「こんなに短期間のうちに何度も入ってくる情報なら必要なものに違いない!」と勘違いします。つまり、一定期間の間に何度も何度もブランドと接触させることで、そのブランドは長期記憶に格納されます。

スーパードライというビールは売り上げもNO1ですが、「海馬を騙した」ブランドでもNO1だと思っています。昨年もリニューアルしましたが、発売してからずーーーっと同じトンマナで「アサヒスーパードライ」って言ってましたから。

何度も何度も接触させるお金がなくても、強烈な体験を作るエピソード記憶も長期記憶に保存されます。エピソード記憶を利用したブランドのひとつに「桃屋の食べるラー油」があるのではないでしょうか。ごはんにラー油をかけて食べるなんてキテレツな体験は(こんなに感動するのは大事な情報だと誤解する)多くの人の長期記憶に残ったと思われます。あまり予算がなくてもアイデアがあれば長期記憶に保存された事例だといえます。

あなたの担当商品が長期記憶に保存されるには何が必要になるでしょうか?

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